どうして今ユークリッド幾何学か
ユークリッド幾何学は現代では厳密ではないという理由で回避されるようになってしまった。
だが、厳密さは時代によっても変わってきたし、個人の学習進度によっても変わる。
現代の厳密さの追求を完璧に行うと、初学者にはかえって曖昧模糊としてしまう。
また、ユークリッド幾何学は著者が学習したときには充分厳密と感じられるものであったし、歴史上も長い期間厳密なものとされてきた。
さらに、ユークリッド幾何学は意識的に論理を用いる豊富な事例がある。
つまり、論理の入門と実践にはうってつけで、ユークリッド幾何学を避けたことによってこれらの利点を享受できないことはかえって論理を損なうことになりかねない。
以上は学習上の意義であるが、実はそれ以外にも取り組む意味がある。
そのおもしろさ
なぜなら、面白いからだ。
パズル的な要素から数日かけて分からなかったことが急にわかるなんていう体験があったりする。
以前日本では、物理的な空間に関する現象の記述という面があったため、当時は自然科学としての面白さもあった。
紙の上で定理を確認することができたし、現実世界での物体の位置関係にも応用できた。
また、厳密さを感じながら学べるという楽しさもあった。
今までのテキストとの違い
そんな幾何のおもしろさを再現するのがテーマだが、ただ再現するだけでは意味がない。
ユークリッド幾何学の論理的欠陥として挙げられる「順序の公理がないこと」について、難しい’直線上の点の順序’についてはよく分かっているものとし、よりわかりやすい’平面上の点と直線の順序’については厳密に行った。
また、実数の性質は完全にはカバーしていない。
以前は証明・軌跡・作図の3分野があるものとされていたが、証明だけを扱った。
以上。
さあ、幾何学を始めよう。
コメント